
令和に蘇る、あの哺乳類たちの遺伝子

90年代のJ-ROCKシーンはV系の全盛期だった。LUNA SEA や GLAY、L'Arc〜en〜Ciel、黒夢 など今では大御所となってしまったバンドたちが若い力をぶつけ合っていた。そんな中、いくつかV系の系譜から外れたロックバンドもいた。恐竜時代に生き延びる哺乳類のように、小さくともたしかにいた。 V系と一線を画していたバンドの代表格でいうなら、例えば THE YELLOW MONKEY や JUDY AND MARY、ミッシェル・ガン・エレファントなどだろうか。THE HIGH-LOWS やサザンオールスターズ などもいたが、当時を十代で過ごした自分としては割りと別枠というか、大人が聴く音楽というカテゴライズをしていた。若手ということに限ると、というところである。 イエモンやジュディマリはその後もチャートを賑わすほどの人気を博したわけだが、当然そこまで行けなかったバンドも多数いた。それらのバンドもしっかり実力があったにも関わらず、やはりV系全盛という時代に負けたような印象は拭えない。例えばL↔Rや、MOON CHILDなどもそうだ。 前段が長くなったが、本曲「冷笑モード」は MOON CHILD の系譜を継いで令和に昇華させたような曲だと思った(これが言いたかった!)。まず大きく惹きつけるのがリズムだ。バックで行き急ぐように刻まれるリズムとギターのカッティングが非常に印象的にアレンジされている。イントロのギターは ZI:KILL を思わせるような雰囲気もあるが、全体的にはやはりV系ではない、ロキノン系と言っていいだろう。 ちなみにこの系譜の正当な継承バンドは cinema staff なんじゃないかと個人的に思っている。異論は認める。 歌詞も諦めと投げやりを混ぜ合わせたような感情を巧みに表している。個人的にはAメロのメロディと歌詞が最もよくマッチして表現されていると思う。「逃げろ」というメッセージが、悲しくもなく、力強くもなく、ただただ内省の中から湧き出る言葉として吐き出されているように思わせるメロディが秀逸だ。若き日の斉藤和義の刹那的な世界観を感じるところもある。 ファンキーなロックとしての立ち位置として、ぜひ聴いておきたい一曲である。