青空の下で

青空の下で

menxo@PROJECT_HORIZON

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曲紹介

夜明け前の、澄んだ風。遠くで響く、終わりを告げる銃声——。 「青空の下で」は、新選組副長・土方歳三への個人的な解釈を込めた一曲。 時代は刀から銃へと移り変わる。武士という生き方そのものが過去になっていくなかで、 それでも刃を引かなかった男を描く。負けると知りながら戦い、 「誰よりも古くさい理想を掲げて/笑われるほど頑固でいた」—— 古い理想に殉じる姿が、歌詞の軸になっている。 中盤には「本物よりも/本物になる」という一行が置かれる。 農民の子として生まれながら、武士であろうとした土方の生涯を、血筋ではなく覚悟の問題として捉えた表現と読める。 タイトルにもなる「散るなら 青空の下で」は、散るという語に桜と武士の死生観を重ね、北の地で迎えた最期を、晴れ渡る空のイメージと結びつけている。 サウンドは、逆境に抗うアンセムを思わせるミドルテンポのハードロック。 タイトに刻むビートと、伸びやかなストリングスを軸に構成され、力強さと儚さを一曲のなかに同居させている。 「美しく散れ、美しくあれ」「負けてもいい、消えてもいい」—— 潔さをテーマに据えた、土方歳三という生き方を題材にした一曲。

投稿: kazumae

レビュー

受け継がれた叙情 ——80〜90年代メロディックハードロックの血脈

この曲を最初に聴いて感じたのは、80〜90年代メロディックハードロックの系譜である。 Scorpions が世界に示した叙情的なメロディ感覚は、疾走を競う一派とは別に、もう一つの大きな流れを生んだ。歌を主役に据え、緻密なコーラスワークと磨き抜かれた哀愁で聴かせる潮流だ。Bonfire や Pink Cream 69 がその土壌を耕し、Zeno Roth のもとで歌った Tommy Heart が Helge Engelke らと結成した Fair Warning が、その様式を一つの頂点へと押し上げた。とりわけ日本で熱狂的に支持されたあの叙情性を、本作もまた確かに受け継いでいるように思う。 イントロのストリングスから突き刺すようなギターへ、そして静寂の中から立ち上がるボーカル。その厳かな導入は、さながら Fair Warning の "Children's Eyes" を思わせる。やがてサビに入った瞬間、各パートが一体となって押し寄せるバンドサウンドが何とも心地よく、緊張から解放へと一気に視界が開けていく。 楽曲は終始、叙情的な旋律で彩られている。映画でいえばクライマックス手前、葛藤と決意が交錯するあの瞬間を描くように構築されたメロディは、窮地に立たされた旧幕府軍の急先鋒・新選組副長 土方歳三の心中を、見事に音へと翻訳してみせる。負けると知りながら刃を引かない男の覚悟と、その奥にある一抹の哀しみ。そのどちらもが、この旋律には宿っている。 中間のギターソロは、まさに王道のフレーズを決めてくる。伸びやかなメロディで聴き手を惹きつけながら、最後のサビへ向けて加速していく。この様式美こそ「これぞハードロックのギターソロ」と呼ぶべきもので、定型でありながら少しも古びていない説得力がある。 懐古ではなく、あの時代の叙情を現在の一曲として鳴らしてみせた——そんな手応えのある仕上がりだ。

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