1ワードで迫るクワイアの圧、化け損ねた劇場型シンフォニック
シンフォニックメタルの系譜に属すると言ってよいのだろう。Nightwish、Within Temptation、Epicaといったバンドが築き上げてきた、オーケストラとメタルが正面から組み合う世界観。その流れを汲みながらも、どこかアニソン的な高揚感が漂っている。そうした劇場型の演出が、楽曲の随所に散りばめられている。 特に聴き手を惹きつけるのはサビの部分だろう。クワイアが迫りくる。1ワードごとに楔を打ち込むように、言葉を軸にして聴き手へと押し寄せてくる。Therionが合唱そのものを楽器として扱い、Epicaがクワイアで楽曲に聖性を与えてきたように、この構成は圧倒的にシンフォニックであり、楽曲の核と呼ぶにふさわしい強度を持っている。 それが故に、他の部分での減点が顕著に見えてしまう。サビ以外の構成がすべて突発的で、聴き終えた後に印象が残らない。ミュージカル的と言えばそうなのかもしれない。ただ、場面がめまぐるしく移り変わるばかりで、聴き手がしがみつける拠り所がないのだ。Rhapsodyの「Emerald Sword」やWithin Temptationの「Ice Queen」を思い出してほしい。どれだけ大仰なアレンジを施しても、聴き手が戻ってこられるフレーズが繰り返し提示されるからこそ、楽曲は記憶に刻まれる。もう少しリフレインする作りにした方が、全体の輪郭がはっきりしたのではないか?ダイナミックなアレンジと言えば聞こえは良いが、展開の速さに聴き手が置いていかれ、気づけば若干置き去りにされている感が否めない。 間延びした楽曲になってしまうのはシンフォニックメタルではよくあるパターンではある。しかし、この壁をしっかりと乗り越えた楽曲こそが、名曲としてその名を連ねているのも事実だ。Nightwishの「Ghost Love Score」は10分を超える大作でありながら、最後まで聴き手の集中を途切れさせない。そこを目指してほしい。サビのインパクトは非常に良い。だからこそ、サビ以外の部分の作り込みがうまく噛み合えば、一気に化ける曲だと思う。
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