モーニングショーの静けさ

モーニングショーの静けさ

ニュー淡路

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曲紹介

スローテンポのマイナーキーで構成された、デジタルサウンドを交えたロックナンバー。電子音とビートを基調に、ひんやりとした質感のサウンドスケープが組み立てられている。サビではマイナーコードから半音ずつ下降していくコード進行が用いられ、スローなテンポに対して歌詞は隙間なく敷き詰められているのが特徴。 歌詞は、モーニングショーが流れる朝の風景を起点に展開する。テロップの裏で泣いている誰かの存在、トレンドのように更新されていく「正しさ」、広告のように響く「希望」という言葉などを通して、ニュースやSNSに囲まれた日常の中での違和感や距離感が描かれる。善意と承認が交差し、言葉がノイズへと変わっていく現代の感覚が、楽曲全体のモチーフとなっている。 ラストでは、隣で眠る誰かの寝息と、穏やかすぎる朝を信じることが「今の救い」として描かれ、ざわめく世界の中でのささやかな確かさへと着地する。

投稿: kazumae

レビュー

ざわめく世界の片隅で

昨今インターネットの発達により、マスコミはオールドメディアなどと揶揄されている。恣意的な報道、報道しない自由と報道する自由を使い分ける姿勢、本来知りたかった情報が届かないことに対する憤り——こうした言葉が生まれた背景にはそういった不満があるのだろう。しかし一方で、インターネットが真実で溢れているかというと、そうでもない。詐欺とヘイトが蔓延している。玉石混交というなら、オールドメディアもネットメディアもそう変わらないと、僕は思う。 本曲は「モーニングショー」というワードがタイトルに使われており、歌詞にも何度も出てくる。モーニングショーと聞くと「羽鳥慎一モーニングショー」を思い出してしまうが、おそらくそういった固有名詞的な話ではないだろう。もしかしたら、テレビメディアだけの話ですらないのかもしれない。フィルタリングして情報を届ける全てに対するアンチテーゼのように感じたのだ。世間の空気かもしれないし、突き詰めて言うなら、自分自身の脳すら自分を欺いてくる。 情報の洪水に知らぬうちに流され、そこには自分の意思があるようでない。そんな時代の葛藤が「モーニングショーの静けさ」には詰まっているように思う。 サウンドはスローでヘヴィなロックで構成されている。In This Moment の「Whore」のようなダークさと重さを含んでいて、詞のメッセージ性の強さを補強している。そして、入りすぎないくらいにデジタルサウンドをスパイスとして取り込んでいる。終始語りかけるようなボーカルが特徴的で、まさにそれが本曲の内省性を醸し出しており、大きな魅力の一つになっている。スローなテンポとヘヴィなサウンドの上に乗り、文字数の多い歌詞を歌い上げるサビの部分などは、現代のブルースと言うにふさわしいのかもしれない。 一点指摘するのであれば、1コーラス目のAメロ、Bメロの流れが秀逸なだけに、2コーラス目でメロディが変わってしまうことで、リスナーへの意識付けのパワーが落ちてしまったように感じるのが残念だ。個人的には、1コーラス目の流れをそのまま持ってこられたら、この曲はよりパワーを持つことができたのではないか、と感じる。 それでもこの曲は、ざわめく世界の片隅で「君の寝息」という小さな確かさにそっと着地する。情報の洪水を描きながら、最後に残るのが誰かの隣にある静けさであることに、僕は救われた気がした。

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