
哀しくて、明るい。これが日本のブルースだ

ブルースというと何を思い出すだろう?僕はブルースと言うと、まず Stevie Ray Vaughan や Eric Clapton を思い出す。もう少し古いところだと BB King や Freddie King などもあるが、個人的には Stevie Ray Vaughan が好きということもあり、そういったギターブルースを思い出す。本格的なブルースが何なのか、みたいな話になると、やれ黒人ブルースやら白人ブルースやら、ややこしくなってしまうのだが、そういう意味でいうと白人ブルースのほうが個人的には好みである。黒人よりもどこかエンタメ性が高いと思っている。黒人ブルースはもっと魂からの歌声に感じるのだ。白人のブルースは黒人のブルースを音楽に昇華し、エンタメに昇華したように思っている。(異論は認める) それと同じように、日本の中でのブルースというのも、わりと独特に進化したように思っている。例えば近藤房之助や木村充揮などだ。どちらかというとロックンロール寄り?かもしれないが、個人的には吾妻光良あたりもかなり好きだ。このあたりの日本のブルースに通じるのは、シンプルな3コードに収まらない、より叙情的なメロディと哀愁を乗せているというところだ。ここは明確に日本の歌謡曲文化が乗っかっていると言える。まさにこの日本のブルースの流れの中で生まれたのが、この「明日はヨロシク頼んます」という曲だろう。 歌詞も良い。「風呂が壊れたら」「コンロが壊れたら」など、日常の「壊れたこと」からスタートし、「家」「生きてきた証」、そして最終的に自分自身へと向けられていく。こういう日常から歌っていくからこそ、ブルースはこころに響くといえる。歌詞の世界観がブルースなのだ。哀しみを歌っているが、楽曲は最後まで明るい。明るいが、どこか悲しさが漂う。ブルースである。日本人のDNAに刻まれた魂を、しっかりと掴んでいるのだ。ブルースであることを強調はしてみたが、全体的にはオールドロック・ポップスの雰囲気を強く持っている。例えば THE BEATLES の「Lady Madonna」的なリズムもそうだし、Elton John の「Take Me to the Pilot」的なノリも感じられる。このあたりの曲は大好物なわけだが、全面的にこれらの曲と同じというわけではない。テイストは含みつつも、やはり、くどいようだが "日本のブルース" である。 惜しいところを挙げるのであれば、真ん中のコーラスの部分だけ急で、浮いてしまっていると思う。1番のコーラスと最後のコーラスはしっかりリフレインしたフレーズで繰り返しているのに、真ん中だけ急にブリッジ的な展開になってしまっている。ここがしっかりリフレインしていたら、最後のコーラスのパワーはもっと強くできたのではないか?と思う。とはいえ、これも含めてブルースなのかもしれない。魂の叫びなら仕方ない。 人生を達観するのは難しいが、このくらいの気持ちで生きていけば良い、そのように感じさせてくれるような気がした。力を抜いた人生の応援歌として、誰かの「魂」を揺さぶるような曲になるのかもしれない。